譲渡所得に対してかけられる税金

不動産を売却して得られる譲渡所得には、所得税、住民税、復興特別所得税（2013年～2037年まで）が課されます。

給与所得や事業所得などは総合課税と呼ばれる課税方式で課税され、1年を通して得た所得の合計に対して税金が課せられます。一方、譲渡所得は分離課税方式で課税されます。給与所得などの所得は考慮せず、譲渡所得だけで計算しなければなりません。

譲渡所得に対する税率

譲渡所得に対する税率は、売却した不動産の所有期間によって異なります。所有期間は不動産を売却した年の1月1日時点で定められ、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得となります。

・短期譲渡所得（所有期間が5年以下）

所得税30％＋復興特別所得税0.63％＋住民税9％＝計39.63％

・長期譲渡所得（所有期間が5年超）

所得税15％＋復興特別所得税0.315％＋住民税5％＝計20.315％

所有期間が長くなるほど税率は低くなります。例えば、譲渡所得金額が1,000万円の場合、税額はそれぞれ以下のとおりです。

・短期譲渡所得の場合

1,000万円×39.63％＝396.3万円

・長期譲渡所得の場合

1,000万円×20.315％＝203.15万円

条件を満たせば税金控除制度や軽減税率制度が受けられます。

不動産売却時に利用できる制度

・3,000万円の特別控除制度

居住用の不動産を売却した場合、所有期間にかかわらず譲渡所得から3,000万円までの控除が受けられる特例です。あくまで「居住用の不動産」を売却した際に受けられる特別控除制度であり、相続で取得した空き家などは対象となりません。

利用するにはいくつかの要件を満たす必要があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

・所有期間が10年を超えていた場合の軽減税率

満たすべき要件として、所有期間が10年を超えている必要があります。長期譲渡所得よりも低い税率に抑えることが可能です。「3,000万円の特別控除制度」とも併用できるため、居住用不動産の売却時に活用をご検討ください。

・マイホーム買い替えの特例

買い替える目的で現在の居住用不動産を売却する場合、買い替えの特例として譲渡所得を将来に繰り越せます。税金を支払うために貯金を切り崩したり、金融機関からお金を借りたりする必要がありません。

これらの制度をうまく活用することで大きな節税効果が期待できます。不動産を売却する際は税金控除の要件を満たしているか確認してみましょう。