登記名義人でなければ売却できない

原則として、登記名義人でなければ空き家の売却はできません。名義人が売主と異なる場合は、まず名義人の変更手続きを行いましょう。特に相続では親族間のトラブルに発展する可能性も考えられるため、忘れずに行うことが重要です。

抵当権抹消登記の申請が必要

空き家に抵当権が設定されているなら、売却にあたって抹消登記申請が必要になります。抵当権とは、住宅ローンを借り入れる際に金融機関が不動産に設定する権利のことです。住宅ローン返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使して不動産を競売にかけるのです。

住宅ローンを完済していたとしても、登記簿上の抵当権は残ったままの状態です。自動的に消えるわけではないため、司法書士に抵当権抹消手続きを依頼しましょう。ケースによっては自分自身で手続きできる場合もあります。

契約不適合責任に注意

不動産の売主には「契約不適合責任」が課されます。売買契約時に告知されていない物件の欠陥が後日発覚した場合、売主がその責任を問われるのです。損害賠償や契約の取り消しなどに発展する可能性も理解しておきましょう。なお買取の場合、不動産会社が買主になるため契約不適合責任は免責されます。

取得費と譲渡所得税

不動産売却時にかかる譲渡所得税の計算には、不動産の取得費（物件の購入費と購入時にかかった費用）が必要です。しかし、取得費がわからなければ正確な計算ができず、購入費が一律で「売却金額の5％」に設定されます。

実際の購入費よりもはるかに少ないことが多く、結果として譲渡所得税が非常に多くなるかもしれません。計算前に取得費をきちんと把握しておくと安心です。

管理を怠ると税金が高くなる

空き家の管理を怠ると、税金が高くなってしまうおそれがあります。適切な管理が行われておらず、保安上・衛生上などで危険と判断されると「特定空き家」となります。結果として固定資産税の特例措置が適用されず、大幅な増額となってしまうのです。そのため、放置せずに管理しておく必要があります。

空き家の売却は3年以内が目安

住まなくなったマイホームや相続した空き家を売却するタイミングは3年以内がおすすめです。例えば、マイホームを売却する際は特別控除の対象となり、譲渡所得税が減額されます。しかし、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日）」までに売却しなければ対象外になります。タイミングを逃すと特例が適用されなくなることも押さえておきたいポイントです。

空き家の解体は不動産会社に相談する

老朽化が進んだ空き家は解体し、更地にすることで需要が高まるケースも少なくありません。しかし、条件などによっては解体せずに、そのまま売却したほうがいい場合もあるのです。自分で判断するのではなく、不動産会社に相談することをおすすめします。